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新聞広告の入稿についておさらい~押さえておきたいポイント~

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新聞広告の入稿についておさらい~押さえておきたいポイント~

「新聞広告」と聞くと、「インターネット広告の勢いと反比例して、市場が縮小傾向にある」というイメージがあります。ですが「購買層にターゲットを絞って広告を打つことができる」という大きなメリットがあり、新聞はまだまだ影響力の強いメディアと言えるでしょう。さて、そんな新聞広告について、人事異動や配置換えなどの理由により、「数年ぶりに携わることになった!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。

今回はそういった方々に向けて、新聞広告の入稿についてのおさらいができるような記事を作成しました。

1.モノクロバックアップ版とは


4Cフルカラーの送稿データを用意する際、「モノクロバックアップ版は用意しますか?」と聞かれて戸惑った経験がある、という方はいませんか?モノクロバックアップ版とは、日本経済新聞社が発行している媒体で必要とされるデータです。新聞は、各地域にある印刷所でそれぞれ印刷を行っています。そのため、印刷所ごとの設備の差によって、一部の地域ではカラーで印刷できない紙面が発生することがあります。そうした場合に、モノクロバックアップ版を使って1Cで掲載することを目的として、用意が求められる場合があるのです。

ただし最近では、印刷所の設備が新しくなったことで、以前はほぼ必ずモノクロバックアップ版が必要だった媒体でも、4C原稿のみでよくなった事例もあります。媒体社が発行している入稿ガイドをよく確認し、モノクロバックアップ版が必要かどうかもチェックしておくと安心ですね。

 

2.N-SIZEとは?


N-SIZEとは、日本新聞協会広告委員会によって定められた、新聞広告の推奨制作サイズのことです。1つのデータで複数の新聞社に送稿できることから、「原稿制作の手間などが軽減できる」というメリットがあります。デメリットとしては、各新聞社の仕様に合わせて拡大・縮小されることが挙げられます。そのため「QRコード」や「原寸大の商品画像」などを扱う場合は各新聞社規定の入稿サイズでの制作をおすすめします。

さらに、一言で「N-SIZE」といっても天地は1段から15段まで1段ずつ、左右は2連幅、全幅、1/2幅、1/3幅、1/4幅の5種類、その他出版広告用のサイズが2種類…と細かく設定されています。全てのN-SIZE
を受け入れている媒体社もあれば、「15段と10段と5段の、全幅と1/2幅のみ」といった風に、一部しか受け入れていない媒体社もありますので、掲載紙と掲載枠が決まったらすぐ媒体管理部署に確認したり、DSWebでチェックしたりするといいでしょう。

3.ブランケットサイズとは


前項で出てきた「各新聞社既定の入稿サイズ」のことを指し、N-SIZE同様に1段~15段まで、天地左右が細かく決められています。また先述の通り、媒体社によってはブランケットサイズでしか入稿できないこともあります。地方紙や業界紙はその傾向が強くなるので、既定の原稿サイズをよく確認しましょう。

3-2.ブランケット判とは


似ている印象を受ける言葉として、「ブランケット判」があります。ブランケット判とは、日本で輪転印刷機を用いて印刷される新聞の一般的なサイズ(406mm×545mm)の名称です。響きは似ていても、ブランケットサイズは原稿サイズ、ブランケット判は紙そのものの大きさ、と指している意味が異なりますので、混同しないようにしましょう。
ちなみに、ブランケット判の半分(273mm×406mm)の紙面はタブロイド判といい、媒体社綺麗の入稿サイズのことを「タブロイドサイズ」と呼んでいます。日本でのみ流通しているブランケット判とは異なり、タブロイド判は海外でも使われているサイズです。

4.社罫


15段・30段などの印刷面の外側四方を囲む罫線のことです。新聞社側が設定するものなので、「社罫」と呼ばれています。全面広告の場合のみ、上辺を除いた三辺の罫線を除くことができます。これを「三方罫トル」と言い表します。また、社罫とは異なり広告主側で設定する罫線のことを「広告罫」と呼び、それを載せることを「広告罫を巻く」と言います。「社罫を取るか取らないか」については、媒体社側の判断で処理される場合がほとんどです。気になる場合は、「広告主側から社罫の有無について指定ができるか」を媒体社に確認しておきましょう。


5.色校正について


新聞広告を制作する際、よく行われるのが「色校正」です。色校正とは、出力時の色味を本印刷前に確認し、必要に応じて色調修正を行う一連の流れを指します。この工程が完了してOKが出ることを「校了」と呼び、色ゲラの出力データにはこの「校了済みデータ」が使われることがよくあります。では、なぜ新聞では特に色校正を行うことが多いのでしょうか?そもそも印刷物は、モニター(RGB)と出力物(CMYK)で混色方法に違いがあることから、制作に画面上で見えている色味と、仕上がった際の色味にある程度差が出てしまいます。それに加えて新聞は紙が特殊で、「一か所に載せられるインク量の上限(Tac値)」も低いので、通常の印刷物よりも色味の出方の差が大きくなります。色校正を行っておくことで「データ上は綺麗に色が出ていたのに、掲載紙を確認したらイメージが全然違った!」ということを減らすことができるのです。

6.色校正の種類と所要時間


色校正のメリットが分かったところで、もう少し掘り下げてご説明をしたいと思います。以前、当社では「平台校正」と呼ばれる校正方法を導入していました。平台校正は「本印刷と同じ紙(本紙)が使える」「特色インクが使える」というメリットがある一方、「新聞校正では色の再現性に難がある」「時間がかかる」というデメリットがあります。現在は色校正に特化したデジタル印刷機を用いた色校正をメインで取り扱うことで、「NSAC*1に準拠したブレの少ない色再現」「出力時間の短縮」が可能となりました。
*1 新聞のカラー広告のための色見本基準

例)※目安の時間です
【平台校正】
赤字入れ:AM中⇒修正作業⇒校正紙出力:翌朝
【色校正に特化したデジタル印刷機】
赤字入れ:AM中⇒修正作業⇒校正紙出力:PM5時

あくまで目安の時間ですので、依頼した製版会社・印刷会社の稼働状況などの諸条件により変動があると思います。スケジュールで困ったときは何時まで待ってもらえるか確認するのが確実ですね。

 

7.文字の級数


可読性を確保するため、媒体ごとに使用できる文字サイズに下限が設けられています。N-SIZEで作る場合には、各媒体の仕様に合わせ縮小されたときに、指定サイズ以下にならないように注意しましょう。

朝日新聞 最小サイズ:6pt
毎日新聞 独自基準なし
読売新聞 最小サイズ:7.5pt
産経新聞 独自基準なし
日本経済新聞 最小サイズ:8pt

 

8.色ゲラとは


新聞広告を制作する際に出てくる用語として、「色ゲラ」があります。色ゲラとは、色基準に基づいた出力機で印刷した色見本のことです。多くの場合、先述の色校正を行って「校了」となったものが、出力用データとして使われます。新聞は、「他の印刷物と比べて印刷時に色が転んでしまいやすい」という特徴があります*2。そのため、色ゲラを各印刷工場に配ることで、試し刷りと色ゲラを見比べて、より校了時のイメージに近い色味になるように調整を行いながら印刷することが推奨されてきました。
*2 色が転ぶ=意図しない色味に傾いてしまうこと

とはいえ、近年では印刷会社にも「NSAC」および「NSACに準拠した出力が行える印刷機」が導入されており、「色見本を印刷所で出力できるから色ゲラの添付は不要」という場合も少なくありません。ここで留意しておきたいのが「NSACに準拠した印刷機同士であれば違う環境でも全く同じ色味が出せる」というわけではなく、あくまで「色ブレが少なくなる」ことを目的とされている点です。つまり、製版所で校了となった色校正紙の色味と、印刷所でNSACに準拠した印刷機を用いて出力した色見本の色味は、完全に同じわけではないのです。そのため、「色の細部にまで徹底的にこだわりたい!」という広告主の場合は、色校正の出力を行った会社に色ゲラの出力を依頼することが推奨されます。「色ゲラを刷ると費用がかさむ」という一面だけではなく、「その広告原稿における色の再現性の重要度」「掲載日までのスケジュール」など、色々な点を考慮に入れながら検討してみてください。

 

9.EPS送稿とは?


現在、主要な新聞はDSWeb*3を用いたオンライン送稿に対応しています。DSWebの場合、N-PDFと呼ばれる新聞広告に特化したファイル形式で用意され、送稿されます。
*3「Digital Send Web」の略称。株式会社デジタルセンドが提供する、新聞・雑誌広告のオンライン送稿サービス

ですが地方紙や業界紙など、媒体によっては未対応のこともあり、その場合に指定されることが多いのがEPSデータを用いた送稿です。EPSはN-PDFが主流になる前に扱われていたファイル形式ですが、データ容量が大きくなったり画像がリンク切れを起こすリスクがあったりします。ミスのないスムーズな進行の為にも、N-PDF送稿に対応している媒体にはN-PDF形式での送稿を心がけましょう。

9-2.入稿?送稿?何が違うの?


案件の進行において、色々な立場の人が色々なタイミングで関わりますが、同じような言葉を使っていても微妙にニュアンスが違っている気がする…なんてことはないですか?入稿と送稿も、そうした組み合わせの1つでしょう。文字通り、入稿は「原稿を入れる」という意味で、送稿は「原稿を送る」という意味で捉えられています。「下版作業が終わってあとは印刷工程のみ」という場面で、私たち製版会社の人間は原稿を代理店の方にお送りするため「送稿」という言葉を使い、代理店の方は原稿を新聞社に入れるので「入稿」と表現される事が多いです。同じ場面でも、立場が違うと複数の言葉が飛び交うことがあるため、注意しておきたいですね。

 

10.印刷立ち合い


本印刷の際に、印刷会社以外の関係者が立ち合って色味をチェックすることです。印刷立ち合いを行うことで、より納得のいく色味に調整してもらうことができます。

 


11.さいごに

「新聞広告に関する、今更聞けないアレコレ」をテーマに、新聞広告に関連するポイントをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?「なんとなく意味は分かったけど、実際にどうやってデータを作ったらいいの?」「データ制作者にうまく伝えられる気がしない」などございましたら、お気軽にお問い合わせください。当社の新聞製版サービスでは、熟練のスタッフによる色調修正や色ブレの少ない機械による色校正の出力はもちろん、オンライン送稿で使用するDSWebへの媒体登録のサポートや、地方紙の掲載紙購入など幅広くサポートいたします。

詳細はこちらをご覧ください。>>> 
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